耐久調整

何故耐久調整をするのか

三値についてはわかってもらえましたでしょうか。
今回は番外編として
よく聞く「耐久調整」「努力値配分」というものについて
簡単な説明かつ持論についてお話したいと思います。
※ここからは三値を完全に理解していただいた方に話す内容な為
専門用語が増えますのでご了承ください

ボルトロス
ここに「ボルトロス」というポケモンがいます。
ランダム対戦時に何度も見たことがある人も多いと思います
主な技構成については育成論にて紹介していますが
攻撃技のメインはタイプ一致の10万ボルト、雷などですが
サブウエポンとしてよく搭載される「めざめるパワー氷」
このめざめるパワー氷を採用する意味についてまずお話します
もちろん一番の理由は
攻撃技が電気タイプのみだと地面タイプの相手に何もできないからです
しかしそれならわざわざ個体値を粘ってまで
めざめるパワー氷を採用しなくとも
ボルトロスは「気合玉」「草結び」といったサブウエポンになりうる攻撃技を
技マシンで簡単に習得することができます。

ボルトロスを使う上で、このめざめるパワー氷を採用する理由の一つは
ランダム対戦にて警戒必須のポケモン「ガブリアス」に対する対策です。
ガブリアス
みなさん知っての通りこのガブリアスというポケモン
タイプはドラゴン/地面ということで、氷タイプの技がどちらも弱点の為
普段の4倍の威力で入ります
ボルトロスはガブリアスより素早さが早い
これでめざめるパワー氷を採用すれば、ガブリアスという怖いポケモンを
先手をとって一撃でしとめる事ができるかもしれない
しかもガブリアスは「地面」タイプがはいっている事により
こちらのボルトロスが打つ電気技を無効にしてくるポケモンなので
電気技読みで相手に後だしを許してしまっても
こちらにガブリアスに対する有効打(今回はめざめるパワー氷)があれば
相手のガブリアスに大きな顔をされなくて済むわけです。

しかしここで問題が発生します。
ガブリアスが耐久に全く努力値を振っていない場合でも
こちらのボルトロスがCに全く努力値を割かなければ
いくら4倍弱点とはいえ、ダメージ量は以下の通り


攻:ボルトロスC性格補正なしC無振りめざめるパワー氷70
防:ガブリアス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量80.4%~95.7%

一発では落とせません。
なのでCに努力値を限界まで(252)振ってみます


攻:ボルトロスC性格補正なしC252振りめざめるパワー氷70
防:ガブリアス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量97.8%~115.2%

ダメージ計算時に起こる乱数幅が急所を含めて全部で16種類ある中
一番低い乱数を引かなければ一発で倒すことができるところまでいきました
これだけ振っていれば相手のガブリアスが耐久面はH4振りのみなら勝てそうです
しかしここで次の問題が発生です

もしも相手のガブリアスがこちらのボルトロスより早かったら

ボルトロスのS種族値は111、対するガブリアスは102。
こちらのボルトロスがSに補正をかけて努力値をSに252振れば
普通は抜かれる事はありませんが
味方のサポートによる「追い風」などがあった場合
そして何より、ガブリアスが「拘りスカーフ」を装備していた場合が問題です
育成論 のガブリアスのページでも紹介していますが
ガブリアスというポケモンは拘りスカーフ持ちが非常に多いポケモンの一匹です
もしもS関係で負けていた場合、相手のガブリアスに先手を取られてしまいます
ではまたダメージ計算です


攻:ガブリアスA性格補正なしA252振り逆鱗
防:ボルトロス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量88.3%~105.2%

さすがタイプ一致の高威力技といったところでしょうか
急所も含め計算すると、3割強の確率でボルトロス側は落とされてしまいます
更にガブリアス側にもサブウエポンがありますね
ボルトロスのタイプ「飛行」の弱点をつける「ストーンエッジ」という技が


攻:ガブリアスA性格補正なしA252振りストーンエッジ
防:ボルトロス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量98.7%~116.9%

弱点をつかれてしまったせいで今度はほぼ一撃で落とされるようになってしまいました
これではせっかくガブリアスの為に用意した「めざめるパワー氷」の意味がなくなります
拘りスカーフ持ちのガブリアスは後続でいくらでも対応できる場合
拘りスカーフ持ちのガブリアスなんて存在しない場合
はボルトロスの努力値振りはCS252振り余りHでいいのかもしれませんが
これでは余りに対ガブリアス時に安心してめざめるパワー氷が選択できなくなります

そこで、ボルトロス側に何をしてあげればいいのか
それが耐久調整ですね。
ボルトロスのHBD(今回紹介するのは物理耐久の方のみ)に
ガブリアスの攻撃を耐えられるだけの努力値を振ってあげれば
相手のガブリアスがスカーフであろうと一発は攻撃を耐えてくれるようになります
一番ダメージ量が多いストーンエッジを耐える為には
一体どの程度の努力値が必要なのか計算してみましょう
※ダメージ計算に関しては数多くのツールが出回っていますので
 個人個人で検索して使ってみてください

まずCの代わりにHPに252振った場合
ボルトロスは補正なしA252振りガブリアスのストーンエッジを確定で耐えるようになります
しかしこれでは攻撃面に全く振る事ができません
先ほど表で説明したとおり、攻撃面に振らないと
ガブリアスをめざめるパワー氷で落とす事ができないので
これでは結局2発攻撃を受けて負けてしまいます

ポケモンのダメージ計算は
HP×防御 or HP×特防 で計算されているので
HとBの両方に努力値を振り分けて両方の数値を伸ばしてあげる事で
252より少ない努力値でガブリアスのストーンエッジを耐える事をやってみます

例として、まずHPの努力値を約半分の100まで減らしてみます
するとガブリアスのストーンエッジを確定で耐えるには
あとBに64振れば耐えるという計算結果が出ます
つまり全部で164の努力値を振る事で仮想敵であるガブリアスのストーンエッジを耐えるので
努力値がH252振りの時よりも「88」も得している事がわかります
このHPの努力値を更に下げて、逆にBへの努力値を上げる事で
更に必要な努力値は減っていきます。
例えば天候異常、状態異常で受ける定数ダメージが最小になる
HPの実数値16n-1調整にする為にHPへの努力値を36まで減らすと
Bに必要な努力値は104。
全部で必要な努力値は140まで減りました。
最初のHP252振りとほぼ同じ物理耐久を確保しても
努力値が112も余っています
この余った努力値112をCに振ってみましょう


攻:ボルトロスC性格補正なしC112振りめざめるパワー氷70
防:ガブリアス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量87.0%~104.3%

先程計算したとおり、Cに252振っても確定1発にならないので
もちろん一発で落とす事ができません
ですがこちらは一発相手の攻撃を耐える事ができます
なのでここで何をするか

今度は火力をあげるアイテムを持たせてあげればいいわけです
拘り眼鏡を持たせる事により火力はあがり、当然ガブリアスは一発になりますが
拘り系アイテムは技を固定されてしまうので
特性:いたずらごころを活かした補助技を搭載したいボルトロスに持たせるアイテムとしては
多少使いづらい感があります
もちろん補助技を一切いれずすべて攻撃技ならばこれでも構いません。
次にブラックホワイトから新しく登場した「ジュエル」というアイテム
一発だけとはいえ、拘り系アイテムを装備した時と同じ火力で攻撃ができるアイテム
しかしこのアイテムだと、一発にすべてをかける事になるので
相手のガブリアスに万が一逃げられてしまった場合
ジュエルを消費してしまったあとでもう一度体力フル状態のガブリアスと対峙して
勝てない可能性が格段にあがってしまいます
では今度は「命の珠」というアイテム
攻撃する度に自分の体力の10分の1を削って攻撃するかわりに
威力が拘り系まではいかないまでもあがります
もちろんこれを装備する事でガブリアスは1発にすることができますが
10分の1減るということは、10%ダメージを受けるという事になるので
相手のガブリアスの攻撃を受けていた場合
ガブリアスと一緒に落ちる事になります
更にはガブリアスに逃げられてしまってほかのポケモンで攻撃を受けられてしまった場合
せっかくガブリアスのストーンエッジを耐えるようにHとBに振り分けたのに
10%体力が減ってしまった事でその調整が崩れ
結局めざめるパワー氷を当てたかったガブリアス戦まで体力が持たずに
倒せなく終わってしまう事になります
次の火力アップアイテム「達人の帯」、これに注目してみましょう
効果抜群の技を相手に与えた時のみ威力があがるアイテム
体力を減らす事も、技を固定される事もありません
このような攻撃技と補助技を使い分けるポケモンにはもってこいのアイテムなので
これを使ってみる事にしましょう
先程の余ったC112を振ったボルトロスに「達人の帯」を持たせて
同じガブリアスに打ってみましょう


攻:ボルトロスC性格補正なし@帯C112振りめざめるパワー氷
防:ボルトロス耐久性格補正なし耐久ほぼ無振り(H4振り)
ダメージ量104.3%~125.0%

先程の努力値で相手のガブリアスの攻撃を確定で耐えつつ
相手のガブリアスにめざめるパワー氷を当てれば確定で落とせるようになりました
これで当初の目的である

めざめるパワー氷でガブリアスを倒す

という目的を達成する為に必要な数字を確保する為に必要な要素を満たすような
36-0-104-112-0-252
という「耐久調整/努力値配分」が導き出されるわけです

今回のはほんの一例であり、単純に
A補正なし、火力アップアイテムなし、A252振りガブリアスの攻撃を耐える
耐久はほぼ無振りのガブリアスをめざめるパワー氷で1発で落とす
というラインをクリアするだけを目標にした配分の例ですが
これを応用していくとどんどん新しく必要な要素を満たす配分が浮かんでくるはずです
例えば耐久無振りガブではなく、
耐久に振った191ガブリアスを一発で落としたい
物理耐久だけでなく、特殊耐久も誰かの攻撃を耐えたい
など他の要素を満たそうとすればするほど、どんどん複雑な配分になっていきます
時には妥協も必要で
今回のボルトロスのB104という努力値を8だけ減らして96に減らすと
最大ダメージ量が100.6%となるので
最大乱数さえ引かれなければ耐える事ができる
14/16で確定で耐える事ができるようになるというラインに抑える事で
努力値を別の場所(CやD)に割く事ができるようになったりします
このように各ステータスに努力値を振り分ける事により
数々の仮想敵に対抗できるポケモンを育成する為に
耐久調整というものは行われています

しかし結局のところ、耐久調整というものはあくまで「机上論」でしかありません
天候ダメージ(砂、霰など)がはいってしまった場合
うまくガブリアスとHP満タン状態で対峙できなかった場合
相手のガブリアスがA補正の性格だった場合など
想定していなかったパターンが、対戦時には数多く出てきます
このような事態まで想定して耐久調整をする場合は更にもっと細かい調整や
パーティ単位でどうするかを全て考察しないとならない為
非常に手間のかかる作業になる上に
対戦は常に運が絡んでくるので
相手のガブリアスの攻撃が急所に当たってしまった場合はもちろん負けます
相手のガブリアスが砂嵐状態で特性の砂隠れを発動させ
こちらの攻撃をかわされれば負けます
耐久ライン、攻撃のラインを妥協すればするだけその確率は上がります
完全に机上論で「これできたら強いんじゃないか?」という想像をしながら
自分で満足のできる調整を考える、いわば自己満足の世界が耐久調整です
耐久調整をしているから強くて、何も考えずCS252振りをしたポケモンが弱いというわけでは
決してないので注意してください。

以上、少々ややこしい感じの説明になってしまいましたが
耐久調整というものが行われている意味について
だらだらと綴ってみましたがいかがでしたでしょうか
これはあくまで管理人独自の見解なので「そういう意味で私はやっていない」
という方がいてもそれは仕方ないことなので、ご容赦ください

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